導入事例インタビュー『鹿島建設株式会社様』

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2024/10/28

鹿島建設の若手技術者を対象とした実務体験型研修施設「鹿島テクニカルセンター」(横浜市鶴見区)に、セイコータイムクリエーションのデジタルサイネージが導入されました。
「現実の手触り・現場の体験」を重視する研修施設で、デジタルサイネージがどのように生かされているのか。鹿島テクニカルセンター校長の中地さまと、建設管理本部 建築企画部 人事・教育グループの竹田さまにお話をうかがいました。

導入事例インタビュー『鹿島建設株式会社様』

鹿島テクニカルセンター校長 中地氏

―鹿島テクニカルセンター設立の背景と、デジタルサイネージ導入の経緯についてお聞かせください

中地氏

従来鹿島建設では、南長崎や木場などに研修施設を置き、建築管理本部・技術研究所・各支店の技術の専門家や各支店で活躍する施工系社員が講師となって、座学による技術教育をしてきました。深い知識や豊富な現場経験を持つ者が講師になることで、各工種の「施工管理ポイント」を学べる一方で、未経験の工種については、講義の内容を十分に理解できないという課題がありました。
さらに近年は、地域によって現場案件の規模やタイプが大きく異なります。「数年かかる巨大なプロジェクトが多い支店」もあれば「工期が1年間程度のプロジェクトが比較的多い支店」もあります。例えば3年次のグループ討議では、同じ課題でも1現場しか経験していない者と既に3現場の経験をした者で、実務経験に基づく発言力の差が顕著になっていました。

鹿島テクニカルセンターはこれらの課題を解決し、より一貫した実践教育を実現するために設立されました。ここでは、入社直後から13年次までの研修を実施しています。実際の現場で使う材料や建造物、設備などを用いて「手触り・実体験」を通じて、施工技術の学習を進めています。研修生はテクニカルセンター内の個室に寝泊まりして、同期やTA(ティーチングアシスタント)として参画した先輩、講師の方々と意見交換し、親睦を深めます。「タテ(先輩・講師)とヨコ(同期)のつながり」の中で、技術的な知識ばかりでなく、社会人としての人格形成を育成していくこともこの施設の目的となっています。

竹田氏

デジタルサイネージは、テクニカルセンターの企画構想にあたって他社の研修施設を見せていただく中で活用事例を知り、有効に使えそうだと考えて導入を決めました。着工当時(2021年夏)は半導体の調達が難しい時期で、この台数をそろえるのは大変だったようです。

―現在、鹿島テクニカルセンターには、6カ所にデジタルサイネージが導入されています。実体験を重視する研修施設において、それぞれのサイネージはどのような役割を担っていますか?

▼現場の人材管理システムで研修生のいる場所を可視化

まず、1階エントランスに入ってすぐのサイネージには、主に鹿島建設の紹介が表示されています。研修生向けや外部からの来館者向けなど複数のコンテンツを用意しており、その日の予定に合わせてコンテンツを切り替えています。
入り口横のサイネージではフロアマップと共に、建設現場における資機材の位置や稼働状況、人の位置やバイタル情報等をリアルタイムで3次元表示する現場管理システムの実働展示をしています。太陽光発電量やその日の予定、食事メニューの表示などもできます。

▼2階エレベーターホール前、休憩スペースも兼ねる

同じシステムは、2階のエレベーターホール前でも確認できます。さらに2階のサイネージでは研修生向けに、講義に関する映像や鹿島建設が持つ固有技術の映像など、教育コンテンツを充実させています。

▼壁面パネルの対面で、具体的な工法の解説動画を再生

1階の廊下には鹿島テクニカルセンターの生産のプロセスを年表として記録した壁面パネルがあり、その対面に9面のサイネージが埋め込まれています。サイネージでは、パネルに書かれた技術についてより深く、具体的に説明する画像を表示しています。研修生たちは年次や経験を積みながら、この膨大な情報を吸収していきます。

▼歴史的な映像記録が一覧表示され、タッチ操作で再生できる

エレベーターホール前、デスクに埋め込まれたサイネージはタッチパネル式で、過去の巨大プロジェクトの動画がまとめてあります。水平埋め込み・タッチパネル式は珍しいそうです。

▼来客時はプロモーション映像を表示する

視聴覚室として利用するギャラリールームにあるサイネージでは、過去に発生した品質事故の記録やプロモーション映像などが表示されます。

―来客の方や研修生のみなさんの反応はどうですか?

竹田氏

まず、全体的な訴求力の高さを感じます。ポスターやパネルでの掲示よりも強力に人の視線を引き、印象付けていると思います。研修施設の企画中に見せていただいた他社の施設や電車内、街中などで「デジタルサイネージの映像はつい見てしまうし、印象に残る」と感じていました。それを期待して導入を決めたので、おおむね狙い通りです。

中地氏

誰もが自然にサイネージに目を向けるため、来客に対しても研修生に対しても、効果的に情報を伝えられていると思います。特に研修生は、『動画を視る』ことで視覚的な学習ができ、それが座学の理解を深めているようです。講義の中で教わった工法が現場で実施されている動画を視て「こうなっているのか」と納得したり、休憩時間などに見た動画で、その後の講義が理解しやすくなったりしている様子があります。

竹田氏

来客用、研修生用など、コンテンツの入れ替えがしやすい点も、ポスターやパネル掲示と比べてのメリットです。センターのスタッフがコンテンツの管理をより簡便にできるようになれば、もっと柔軟な運用が可能になるでしょう。

―今後の活用として、想定しているものはありますか?

中地氏

現状でも現場を模した教育環境の中で現物に触れ、技術や施工過程を視覚で知ることで、体験的な学びが得られていると思います。今後は「事前に視ておくと講義内容がわかりやすくなる動画」や「これから講義をしてくださる外部講師の経歴」など、予習をサポートするような使い方もしてみたいですね。研修生にはサイネージや展示物を「じっくり視る」を心がけ、その上でモックアップを触り、叩いて音を聞いて、匂いを嗅いで、五感を使って『モックアップを診てほしい』と考えています。
最近は国外からの来客を受け入れることも増えているため、今後は多言語対応も必要になるかと思っています。

竹田氏

現在、二次元コードや紙の掲示を併用している部分も、サイネージで表示していけると思います。もちろんポスターやパネル、ホワイトボードにもそれぞれの利点があり「全てをサイネージにする」のがベストとは考えていませんが……他社の活用事例も参考にしたいです。

_________今回は、お忙しいところ貴重なお話しをありがとうございました

お客様プロフィール

社名

鹿島建設株式会社(KAJIMA CORPORATION)

本社

〒107-8388 東京都港区元赤坂1-3-1

事業概要

建築事業、土木事業、開発事業、海外事業、周辺事業(エンジニアリング、環境)

URL

https://www.kajima.co.jp